MINOLTA Dimage EX(1998)
DC-4と同じ、デジカメ界のターニングポイントとなった98年組の中で、FinePix700やC-900、ましてやDC-4よりも存在感の薄い機種です。
ユニークなスタイルと、新時代を感じさせる"汎用OS"搭載という気合いの入ったマシンだったのですが…
ごつめの外観です。当時の価格は128000円で、ニコンCOOLPIX900の110000円を上回ります。
もしかしたら98年組では一番高いかも。
CCDは1/2(珍しい) 150万画素と当時のコンパクト最高レベルで、力の入れようが伺えます。
Dimageシリーズの開花は02年になるわけですが…それは置いといて、このDimageEXには特徴が。
取って付けたようなレンズ部分が気になりますね。
……!!!ただでさえ弾数の少ないDimageEX壊した!?
…心配ありません、これが1つ目の特徴。レンズユニットが分離するのです。
取って付けたというか、ほんとに取り外しできます。しかもレンズだけでなくCCDもついてきます。
外れたレンズユニット。これを交換することで、レンズの画角を変えたり、
後にはさらに高画素なCCDを積んだユニットに変えたり…という構想だったようです。
端子は"EXデジタルバス"という独自規格。
本体側。実際はこの個体に付いている38-115mmズームレンズと、28mm、F1.9(!!)広角単焦点レンズの2種類が発売されました。
また、ユニットを分離した状態でコードを接続し、ワイヤードリモコンのような遠隔操作もできたとか。
さらにこんなものも出ていたようで、掲げていた"システムカメラ"の構想はそれなりにやっていたようです。
というかなり癖の強いカメラなのですが、もうひとつの特徴は、電源を入れるとわかります。
数秒の沈黙のあと、電池切れ?と疑おうとした矢先に、"Digita"のロゴが表示されました。
Digita OSはアメリカのFlashPoint Technologyで開発されたデジカメ用汎用OSで、他にもペンタックスのEIシリーズや、コダックの一部機種にも採用されました。
ただし、その後の消息は不明です…
アメリカンなGUIを搭載してます。また、自分でスクリプトを書いて機能拡張ができたようです。
画像関係の機能追加の他、ゲームまで出来たとか。
Digitaのバージョンが表示されてます。
DimageEXの場合、正面に「Ver II」のシールが貼られているのは出荷時から2.0にアップデートされているようです。
13万円もしただけあって?液晶は明るく外でも見易いです。
レンズユニット側にはマクロとディスプレイのON/OFFスイッチ。
液晶の明るさはダイヤルで調整できます。
底面。
レンズユニットの取り外しはここのRELEASEボタンで行います。
うれしいコンパクトフラッシュと単3仕様。
正式名称は「MODEL EX」?
…Dimage EXには似た兄がいます。97年発売のDimage V。
ただし、DimageVにあった回転レンズ機構はEXにはありません。
こっちもレンズが取れます。何故か5Vスマートメディアという時代遅れな仕様で不発だったDimageVを改良したのがEXだった様子。(ただし端子の互換性はなし)
しかし、こっちもいまいち不発で、結局このあとに続く機種はありませんでした。
混沌とした実用デジカメ黎明期を象徴する?機種です。
==試写してみる==
※基本カメラ任せのオート撮影です。画像はすべて縮小リサイズしてあるので、参考程度にどうぞ。
なんとなくレトロな感じで味があります。
しかし、98年組ではダントツの写りかも。
ズーム端。
レンズがいいのか、1/2 CCDの力か、よく解像してます。
このサイズまで縮小して見る分には今でもいけそうですね。
屋内撮影。
当時のカメラだと白とびするのが多かったこんな場面でもちゃんと粘ってます。
マクロ。20年以上前のカメラでここまで写ればあっぱれじゃないでしょうか。
動作が遅いのを除けばかなりよくできたカメラでした。ミノルタの熱の入れようを感じる1台です。
==主なスペック==
150万画像 1/2 CCD、原色フィルター、3倍ズームレンズ(35mm換算38-115mm 、F3.5-5-6)
電源:単3×4本
記録:コンパクトフラッシュ
2019/6/20作成開始