FUJIX-Hi8 M830HRSONY CCD-V900のOEM(1989)修理編
すっかりビデオカメラの修理にはまってしまいました。そんな中、気になったのが「パスポートサイズじゃないフルサイズ機」。
1台くらいいじってみたいなぁ…と思い、気になったのがCCD-V900です。
記念すべきHi8の1号機で、24万円もした高級機。もちろんフルマニュアル撮影もできます。
手頃なの無いかなと探していたら、状態の良さそうな富士のOEM版を発見。
予想通り、なかなか立派でカッコいい面構えです。
本体のみの動作未確認ジャンクでしたが、電源OK。大型ディスプレイがそそりますね。
本家は英語表記ですが、こっちは日本語でフレンドリー。白バランス、ゼロ停止。
ファインダーの画像はなんだかわからず。ジャンクですので…
この頃のハンディカムは、コンデンサがよく死んでいるとのことなので、その辺りを中心に見ていきましょう。
まずはファインダーから。本体を開けなくても、単独で分解できます。
ねじと、ここの固定具を外します。スライドすると外れます。
分解の図。小さくてもブラウン管が入ってるので、高圧注意です。
1つだけ金色に輝くコンデンサがありますね。
かなり派手に噴いてます…見たことない死に具合。
もはや、よく通電してたなぁという感じ。
これを交換したところ、とりあえず、ファインダーは復活しました。
しかし、正常に画像が出ていません。再生しても黙りこんでます。
あれだけコンデンサが噴いていたということは、きっと他も…ここから長旅が始まるのでした。
若干びびりつつ、分解開始です。まずは上部の操作パネルを取り外し。
フレキ1本とコネクタ1つ。
カセットふたを外す必要がありました。
ねじをとったら、少し持ち上げながら写真だと左方向にスライドさせると外れます。
あとは2つに割ります。フレキ2つとコネクタ3つ。
…写真右の黒いシールドに、怪しい液体が。バイオハザードとかだったらこのあとなんか出てくるやつです。
もちろん、ゾンビもモンスターも出てきませんが…それ以上に厄介な、例の金色のがありますね。
内部に電解液が散るほどとは、ここまで盛大な漏れ方してるのは初めて見ました。
摘出です。問答無用で交換。330μF、たぶん16Vです。
幸い、パターンは無事でした。噴いたコンデンサのアップ写真は気持ち悪いので自粛。
合わせて、近くにある小基板も見ておきます。表面実装タイプがいっぱい。
…そして、足が怪しく曇ってます。
MC-31基板は47μFと4.7μFが2つずつ、MK-4基板は4.7μFが3つと10μFが1つ。
本体側へいきましょう。本体はカメラ部とデッキ部とに分割できます。
まずは、色がおかしい原因っぽいカメラ部へ。
アース接続に注意。
フレキを外していきます。
こっちにもフレキ。
あとは上と前の白いコネクタを外したら、カメラ部が持ち上がります。裏の基板と繋がってるフレキに注意。
カメラ部が外れました。上下左右に基板がついています。
まずは、上のシールドを外して重要そうな映像処理系の基板をチェック。
…あいつがいますね。
見るからにアウトです。
120μFという半端な容量なので、100と22を押し込みました。
面実装タイプな他のコンデンサも死んでいるので全て交換です。
ここまでコンデンサが全滅していると、とりあえず交換しないと他の不良箇所すらわかりません。
100μFが2つ、47μFが1つ、22μFが1つ。
まだまだ序章です。次の基板へ。
シールドを外してみました。左のD224のあたり、腐ってます。
摘出しました。とにかく、コンデンサの数が多いです。
そして、もれなく死んでいます。
47μF16Vが4つ、6Vが1つ、3.3μF50Vが1つ、22μF6Vが3つ。
3つ並んだ47μFの下、ここも腐食が広がってます。
この時点で投げ出したくなりますが、めげずに進みましょう。幸い導通はしていました。
先ほどの腐ってた部分。案の定こんな感じ。チップ部品がもげてます。
外れた部品をつけ直し、導通確認して、ジャンパーを飛ばします。
その他基板のコンデンサも全交換です。
レンズユニット下部の基板にも2つ。
なんとCCD基板にも…その前に、CCDに怪しい虹が。
少し前のCCD-V90あたりはよくフィルターが曇る症状があるので、これも同じなのかもしれません。
ここまで分解したので、下手にコーティングが侵される前に対処しておきましょう。
V90もそうですが、フィルターを外すには一度CCDを外す必要があります。
42万画素CCD。もちろん自社製。
フィルター摘出。まだ濁るまでにはなっていないようです。
CCD-M8のときと同じく、フィルターを分離します。
青いところとの間に油?のようなものが付着しているので、青いのを挟んでいる両側を分離。
割れないように、ドライヤーで温めたりしつつ分離しました。
やはり、油のようなものが付着しています。これが進むと白く結晶化するのでしょうか?
クリアな瞳に戻りました。
再び取り付け。銅のパーツは組みつけた状態で半田づけします。
コンデンサ交換も忘れずに。10μF35V、22μF6V、2.2μF50Vです。
これでカメラ部は完了。
カメラ部のコンデンサはほぼ全滅だったので、こっちもなんでしょう…
というわけでデッキ側に突撃です。カメラ部を外した後ならフレキ2本で外れます。
裏側を様子見。
まずはすぐ外れそうな小基板から攻めましょう。
容量はご覧の通り(見えなかったらすいません)。
反対側の、ヘッド回りの基板。右上のは2.2μF50Vです。
メカ裏に移ります。
仲良く並んだ4.7μFと22μF、はぐれた4.7μFの5つ。
基板を起こします。
サーボ回路に10μFが4つ。
上の映像基板は撮り損ねました。4.7μFが3つ、33μFが1つのはずです。
ここまで交換したら全て完了です!お疲れさまでした!
ちなみに、コントロール基板にもコンデンサがありますが、リード線タイプで死んではいなさそうでした。
火入れの儀式。
おお、無事に映像が映りました!!
では、テープを入れて…
ウィーン、、ローディングが終わりました。
では再生を……ガガガガ!!!!
メカの挙動がおかしいです。何処までハードモードなんでしょうかこやつは…
再び分解して、ここまでやってきました。
原因はこれ、モードスイッチです。接点がだいぶ汚れていますね。
しかし、さっきの騒動で位相が狂ってしまいました。ちまちま合わせていきます。
一連の騒動でテープパスも狂ってたので調整。
今度こそ…!
再生もばっちりです!
バブルハンディカム、侮ってました。満足感は高いですが、もうやりたくないです。
あれ?これはソニーの…そう、位相が狂った際に参考にと買ってしまったのです。
確かに役にはたちましたが、このあとどうしましょうこれ。
コンデンサ地獄再び…続く??
2020/4/3作成開始