SONY CCD-M8(1985)修理編
たまたまとあるところから「いらないハンディカムあるんだけど」と言われたことがきっかけで、古いハンディカムに手を出してみることに。
最初はHi8世代の機種をいじってたのですが、つい魔が差して「初代ハンディカムってどんなんだったっけ?」と調べてみました。
そしてヒットしたのがこの"CCD-M8"。なんと再生機能すら省いた録画専用機だったとも知り、ますます気になる…
で、きてしまいました。これがいばらの道だともこのときは知らず…
再生すら省いたことであまり売れなかった、とのことですが、それでもそこはソニーの量産品です。ヤフオクなんかにはたまに出てきます。
AFすらない、固定焦点レンズ。コンパクトカメラのようですね。
今まで手にしてきたHi8がだいたい動いたので、これも余裕だろうと思ったのですが…
イジェクトOK。
テープを入れてみます。録画動作はするようです。
ファインダーは筒抜けで、EVFではないので再生するまで録画状態はわかりません。
試写を終え、別のカメラで再生確認。
…もやもやしたなにかしか映ってません。光や色の濃淡はわかる程度。
実は80年代末ごろのハンディカムは、「内部レンズの接着剤劣化で映像が曇る」が鉄板故障なんです。
これを直すにはCCD手前のフィルターまでたどりつかなければなりません。
というわけで、久々の分解いってみましょう。
ガワをはずすのは、表に見えているねじを外すだけなので比較的簡単。
外装はアルミパネルなので、傷つかないように注意です。
中身が出てきました。
レンズ回りをばらします。まずは両側面のねじをはずします。
レンズ回りのねじも外し…
底面を固定してる黒いパーツもお忘れなく。
シールドの半田をいったんとります。
基板の裏へアクセスできるようになったら、矢印部分のねじ2本を取り外し。
ここまでやればレンズユニットが持ち上がり、問題のフィルターにたどり着けます。
主犯のフィルターです。分解前から明らかにやばそう。
ちなみに、その後ろにあるのが当時最新鋭だった"電子の目"、25万画像CCD。まだ大きいですね。
裏、表ともに酷い状態なのがわかります。
固定枠のねじを外し、取り出します。
このフィルター、4層の薄いガラスで構成されているのですが、側面が黒いもので接着されてます。
マイナスドライバーでちまちま黒いのを削りました。これを1層ずつ繰り返します。
削り終わったら、スライドさせるようにすれば1枚ずつに分離できます。
ただし、劣化がひどい場合は劣化接着剤のせいでくっついて取れません。
この場合、ドライヤーなとで暖めながらずらすようにしたらなんとか外れました。
外れたフィルター。一番左だけ磨いた状態。全て死んでました。
アルコールで磨いてみます。とりあえず、透明な3枚はなんとかなりました。
しかし問題なのが水色のこれ…接着剤のせいでコーティングまで侵されているのか、もやもやが完全にはとれません。
M8は3台ばらしましたが、綺麗になったのは比較的軽症だった1台のみでした。
それでも、何もしないよりは明らかにましなので、できる範囲で清掃します。
清掃後。下の文字がちゃんと見えますね。
あとは逆の手順でもとに戻し、組み立て完了!
やっぱり録画→他のデッキで再生 までしないと直ったかわからないのが大変です。
走行系とかどうやって調整するんでしょうね。試写して…緊張の再生。
ばっちりです!クリアな映像がよみがえりました!
まだぼやけてるって?25万画像の限界です。
いまさらノーマル8の録画専用なんて使い道は…とか野暮なことはいわず、今度外に連れ出してみましょう。
2020/4/3作成開始