SONY CCD-M8(1985)紹介編
みなさんご存知、未だに現役なブランド「ハンディカム」…
"パスポートサイズ'で一世を風靡したCCD-TR55があまりにも有名すぎますが、
1号機はそのTR55より4年前の1985年にひっそりデビューしました。それがCCD-M8。
見た感じ、8mmカメラとしてはコンパクトで、TR55と遜色なく見えますがその理由は…
そう、当時の技術で小型軽量を実現するため、かなり機能を割りきってます。
できることは録画ボタンを押すのと固定焦点の切り替え、ホワイトバランスのみ。
再生もオートフォーカスも、EVFも省略。つまり、再生するには別にデッキが必要になります。
これでCCD-V8と比べてここまでの小型化を実現したのでした。
当時、SONYは8mmビデオをβ、VHSに替わる据え置きデッキとしても普及させようと目論んでおり、録画専用機を出したのはそのあたりの事情もあるのかもしれません。
しかし、ばらばらで買うなら再生もできる上位機CCD-V8一台でいいか…という人が多かったのか、この"初代ハンディカム"は商業的に成功とはならなかったようです。
この反省をいかし、「機能は妥協せず、小型化も妥協せず」で大ヒットしたのがTR55でした。
裏を返せば、TR55の登場まで、ハンディカムは冬の時代を迎えることとなります…
と、そんな政治的事情は置いといて?目の前のM8です。
外装は当時のウォークマン上位機種のような金属ボディ。質感はかなり高いです。
ハンディサイズに凝縮された精密な感じといい、まさにit's a Sony。
レンズは固定焦点(ゾーンフォーカス)の「SONOPTOR」。
光学メーカーがレンズに自社ブランドをつけていた流れにのったようです。CCDのエンブレムも誇らしげ。
スライド式のレンズカバーが電源スイッチを兼ねています。
M8にはカセットふたに「Handycam」の文字かあるものとないもの(代わりに"Video8"のシールが貼ってある)がありました。
前期型はロゴなしで、途中から印刷が追加されたようです。
…しかし謎のこいつは、ロゴなしのロットより製造番号が若いのにロゴ入り。
「NOT FOR SALE」とあるしデモ用だったんでしょうか?ロゴも白ではなく黄色っぽくて大きいです。
操作ボタンがほとんどないので、上はシンプル。
本体側のボタンはフォーカスとホワイトバランス除くとイジェクトだけです。
運転状態は4つのLEDで表示されます。
一番下の注意書きに記載の通り、再生ができないので一度テープを取り出すと繋げ撮りができません。
「スナップカメラ感覚の簡単操作…」と謳ってましたが、スパルタンな仕様。
反対側にはグリップ部。ファインダー、録画ボタンとマイク、電源部が一体になっています。
ボタンを押しながらスライドさせると、ワンタッチで外れます。
ファインダーは筒抜けで、ビデオカメラでは当たり前のEVFではありません。
一応、内部四隅に状態表示のLEDインジケータがついてます。
バッテリーは初期のNP-22。NP-22Hは大容量タイプ。
AC駆動する場合はACP-80かACP-88(海外電圧対応)をバッテリーの代わりに押し込みます。
このACアダプター、充電する場合は充電器に差し込みます。なかなかユニーク。
充電器は3本用のBCA-80と、1本のBCA-70があったようです。
本体へ戻りましょう。裏側。三脚穴があります。
気になったのが銘板。例のNOT FOR SALE個体だけCCD-M8(m)となってます。
中身は前期型と同じようでしたが…なにか識別してた?
このシリーズは後継のM10、そして一度も見たことのない幻の?M7と続き、再録兼用機の小型化と共に消えました。
ちなみに、M8かM10が富士や京セラにもOEMされてたようです。これらは拡張端子があり、外付けの再生アダプターなるものが使えた様子。
おまけ。別売だったスポーツパックTRK-M8です。
準備として、本体側はグリップを外しておきます。
グリップ側の機能(マイクなど)は全てスポーツパック側についてます。
バックルを外して…
取り付けかたが書いてあります。
マイクコネクタに専用端子を取り付け(無くしそう)。
レンズカバーを開いた本体をセット。
閉めたらバッテリーをセット。
完成!防塵、防滴なスポーツハンディカムの出来上がり。
本体と同じ、4つのLEDインジケータを装備。
レンズカバーの開け閉めが出来ないので、電源レバーが追加されています。
マイクは内蔵されていますが、外部端子もありました。
もちろん性能は今のビデオカメラと比べ物にすらなりませんが、夢のある楽しい時代を感じる1台でした。
==試写してみる==
しばらくおまちください。
2020/4/3作成開始