トップページ> 別館特集>特別企画

昭和の殿堂?ホテル味園に泊まる

ある日、大阪へ旅行に行きました。そして…宿泊はどこにしようかと検索していると…

ミナミの繁華街、一等地に駐車場込みで1人3000円のホテルを発見。ここでいいかと何気なく予約を入れました。

…それが全ての始まりです。こうして私は「味園」へと足を踏み入れる事になったのです。それでは、ディープな昭和の世界へどうぞ。

なにせ繁華街のど真ん中。狭い路地をのろのろと車で進んでいくと…ありました。これが今回の舞台・味園ビル。

1956年竣功、築60年近いビルです。初代オーナーが自ら設計したという渾身の作。

タイル貼りの壁にはベランダ?が並びなんかが生えてて異質な雰囲気。

屋上にはスーパー玉出でよく見る花火電飾→これがついていたようですが消え去って中心部のみが残ってました。

これはなにやら凄いホテルを選んでしまったようです。やばいぞ(ちょっと喜んでる)。

あ、ここまできて味園ビルが何者か説明してませんでしたね。正式には「レジャーシティ味園ビル」というそうでその名の通りレジャービル。

大宴会場を備えた食堂にスナック街、キャバレー、サウナにホテルのついたいかにも歓楽街って感じの構成でした。

現在キャバレーとサウナは閉鎖、スナック街は新しい店が増えサブカル的な文化の発信地となっています。若者にも人気だとか。

…そんなことも知らず「安いホテル」ってだけで味園ビルへ迷い込んだ私。とりあえず駐車場(大阪では"モータープール"って言うそうですね)へ車を走らせました。

なんと場内に噴水があります。高度成長期なのかバブルなのか。ともかく日本がイケイケだった時代を感じさせます。

エレベーターに乗って1階へ。味園ビルは84年に一度改装されている様子。たぶんその時のでしょう。

COMPUTER CONTROL。

1階の天井。照明が凄まじく並んでいます。

入口前でもとりあえず噴水がお出迎え。この雰囲気、すごくいいです。

この上がアンダーグラウンドでサブカルチャーな元?スナック街へと通じている様子。

…今回はパスしましたが(期待してた人すいません)なかなか面白いところのようです。

とりあえず再びエレベーターに乗り込み、4階のホテルを目指します。

レトロな"三菱エレベータ"が雰囲気を高めてくれますね。

ホテルが出来たのは84年の改装時だそうです。当時は"H.G(ハイ・グレード)ホテル"と呼ばれていました。

とりあえずフロントへ。予約していることを告げます。

すると…泊まる予定だった部屋が都合により使えないので(空調の故障?)安い部屋になるとのこと。

もちろん値段も安くなりますしむしろラッキーです。対応もかなり丁寧にしてくださり、初っ端からいい雰囲気。

鍵を受け取り、ドアの説明(ノブの真ん中を押すと鍵がかかる昔のトイレみたいなやつです)を聞いたらいざ客室へ!

やけに外国人の方や若者が目立ちます。こんなに人気スポットだったんですね味園ビル。

カッコいい鍵。そしていよいよ…

客室です。大理石が激しく、そっち系のホテルかと思いました…当時はおしゃれだった?

荷物広げた後ですいません。鏡台やドアの装飾など、当時を感じさせるアイテムがたくさん。

鏡の枠。凝ってます。

テレビの乗っている台もなにやらおしゃれです。

凝ったドア。

ドアノブもカッコいいです。

ベッドの足下には謎の写真が。昭和なセンス。

そして…ベッドの上にあるコントロールパネル!

渋すぎるぜ!

右端から。テレビ(使えません)、エアコン(ちゃんと動きます)、ウエイトレスのコール(使えません)。イラストがいちいち素敵です。

中央部分。ライトのコントロールはしっかり現役です。

左端。LADIO(RADIOの間違い?)は残念ながら動かず。

スイッチをまわすと元気よく動き出した空調。ばっちり快適です。

デラックスなお風呂。トイレと繋がったユニットバス的構成ですがかなり広々しています。

コーヨーステン・バス。18-8 S.S. DELUXE BATHだそうです。やっぱりデラックス。

ホテル味園、かなり素敵な空間でした。これで一泊3000円なんだからたまりません。

朝食も無料でついてきます。素晴らしいサービス!

大阪の繁華街にあるという好立地なので観光の拠点にもばっちりでした。

駐車場が宿泊期間中無料(2人以上の場合)なのもマイカー派には嬉しいところ。

そして…夜。

ネオンが灯り、味園ビルが"あの頃"と同じように輝きだします。

キャバレー「ユニバース」も閉鎖したけどネオンは元気(現在は内装そのまま貸しホールだそうです)。

立派なネオン。まだまだ衰えてないよ!と主張しているかのようです。

かつて、関西圏ではCMを大量に流し知名度を高めていった味園ビル。しかし、バブル崩壊後あたりから衰退が進んでいきます。

スナック街のテナントは減り、壊滅寸前だった事もあったとか。

しかし、テナント料を下げる等の柔軟な対応で若者達の店が集まり、息を吹き返しました。

「千日前、食事のデパート、味園…」当時のCMが聴こえてきそうです。

今日もミナミの夜には昭和の頃から変わらず、ネオンが輝いていることでしょう。

ひょんな事からその存在を知った味園。そしてそこは、まさに「昭和のレジャービル」。

それがこうやって元気に輝いているのを見て、ちょっと嬉しくなったのでした。

しかも「味園ユニバース」って映画の舞台にもなったとか…恐るべし味園ビル。一周まわって"斬新"な昭和が見直される時代がきているのかもしれませんね。

2015/5/26 作成開始

戻る

inserted by FC2 system