ある晴れた日。まだ見ぬ忠実屋の記憶を求め、埼玉県は久喜市へと車を走らせました。
看板に誘導されながら駐車場を目指すと、現れたのはエレベーター。
入庫します。
「日東エレベータ製造」なる会社でした。
反対側の操作パネル。
いつもの自動車用エレベーターとは違い、屋上ではなく地下へ潜っていきます。
地下駐車場。やけに小綺麗です。それもそのはず、この店舗は1990年オープン。
いつも取り上げてる"昭和な店"から比べれば全然新参です。
お、この緑の表示は忠実屋の名残りですね。
「店内出入口」も忠実屋スタイル。
エレベーターで地上へ。
見たことないボタン。どこ製でしょう?
メーカー不明…?
のっぺらぼうなサブ操作パネル。更新されて撤去されたのでしょうか。
うーん…駐車場と同じく日東エレベータ製造なのか。
ガラス張りのシースルーエレベーターは駅前を横目にぐんぐん上がっていきます。
2階のデッキへとやってきました。駅に直接繋がっています。
バブル絶頂期の店舗だけありよく造ってあります。
100円ショップ、レストラン、スポーツクラブに居酒屋、カラオケと色々入って元気そう。
…しかし、現在お客さんが行き交うこの華やかなビルには暗い過去がありました。
1990年11月、JRと東武鉄道の乗り換え駅でもある久喜の駅前に華々しくオープンした「忠実屋久喜店」。
ビルの名前は「久喜サリアビル」という名前だったようです。
2基のシースルーエレベーターがそびえる巨大ビルにはたくさんのテナントが入り、駅前再開発の集大成とも言える存在でした。
そんなサリアビルでしたが1994年、核テナントの忠実屋がダイエーに吸収されます。
それでもダイエーに継承され、核テナントが「ダイエー久喜店」に。
そこから10年を目前に控えた2002年、じわじわと経営悪化への道をたどっていたダイエーは60店舗の閉鎖を発表しました。
ダイエー久喜店、2002年5月31日閉店。
その後、しばらく幽霊ビル状態だったサリアビル。
しばらくして2007年、ビルを不動産会社が取得。解体してマンションを建てると発表されました。
事実上の死刑宣告がされたサリアビル。20年も経たずにその短い生涯を終える…かのように思えましたが…
なんと2008年、埼玉の住宅メーカーにビルが売却されます。
しかも本社がこのビルに移転、他のフロアは商業施設として再利用されるというのです。
再び陽の目を浴びたサリアビル。新しい所有者の名前を取って「久喜駅桧家ビル」と名付けられました。
こうして一時は瀕死の状態だった忠実屋の跡は、晴れて「クッキープラザ」という名前で復活したのでした。
めでたしめでたし。 -完-
というわけで波瀾万丈なこのビルの歴史を簡単になぞってみました。ここからいつものテンションです。
バブル期らしい角の取れたようなスタイル。店内はエレベーターを挟んだ左右(たぶん)で段差があるのですが増築なんでしょうか?
壁はこれまたバブルらしいパールっぽいタイル貼り。
駅のデッキから繋がってるということもあってか半分外みたいな階段がついてます。
2階への道。
送水口。
実はここ、地下駐車場とは別に立体駐車場がありました。
(現在はただの時間貸し駐車場で、クッキープラザとは提携してないので注意)
で、屋上に見えるこれは…
忠実屋…何食わぬ顔で掲げられてますがもう消滅から20年。恐るべし生命力です。
入口には死にかけのダイエーも見られました。こっちにも立派なエレベーターが2基。さすがバブル。店舗側と同じ緑色な所が店舗の一部だったころを思わせます。
めずらしいNational OTIS。
微妙なアイボリーっぽい?色のパネルが新鮮です。
足下のOTISロゴ。
ドアのところとか、
表示類にも忠実屋の名残りを感じます。
立派な駐車場です。時間貸しにするには立派すぎるくらい。
そして私は地下駐車場に戻り、クッキープラザを後にしたのでした。
奇跡の復活をした忠実屋の生き残り。これからも末永いご活躍を。
店舗正式名 | 久喜駅桧家ビル |
(旧)店舗番号 | 0593? |
所在地 | 埼玉県久喜市久喜中央1-1-20 |
開店日 | 1990年11月(忠実屋久喜店) |
階数 | 地下2階/地上6階 |
店舗面積 |
20651平方メートル |
エレベーター/エスカレーター | 日東エレベータ製造? |
営業時間 |
10時〜21時(一部店舗は異なる) |
アクセス |
電車:JR/東武鉄道 久喜駅から徒歩1分くらい |
駐車場 |
あり(62台、お買い上げで無料) |
備考 |
元忠実屋久喜店→ダイエー久喜店 2002年5月31日閉店 2009年11月15日クッキープラザ開業 |
2015/7/28作成開始