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矢尾百貨店

時は1749年、埼玉県は秩父の地に一軒の酒蔵が誕生しました。

え?えらく古い話を始めるなって?そう、今回のお店は非常に歴史が深いのです。しばしおつきあいを。

創業者の名は矢尾喜兵衛。そうです、これが後に秩父唯一の百貨店となる「矢尾百貨店」の始まり。当時の店名は「升屋喜兵衛」でした。

わりと早い時期から酒造と並行して日用品などの販売を行っていたという見事な先の読みっぷりだったようです。

その後、江戸・明治の時代を駆け抜けた升屋喜兵衛は1910年、「矢尾商店」に商号変更。

1923年には晴れて鉄筋コンクリート3階建ての建物が完成し、近代百貨店への道を本格的に歩み始めたのでした。

そして1970年、1度目の増床。加えて百貨店法に認可され、遂に名実ともに「矢尾百貨店」となったのです。

思っていた以上に長い歴史を持っていた矢尾百貨店。なんと今でも創業時と同じ地で営業を続けています。

…というわけで、気づけば私は埼玉の奥地・秩父にいました。

手前にある近代的な建物は1982年の第三期増床で追加された部分のようです。

立派な広告塔を装備。秩父の街中でも非常に目立っています。

奥に行くと3階建ての小振りな建物となります。ここが第一期、第二期増床にあたると思われる部分。

ちょこんと飛び出た非常用ベランダ。柵の模様がいかしてます。

ここが元からの部分でしょうか?資料を見ると第一期「増改築」となっているので1923年の建物がベースとなっているようです。

そして…なんでしょうこの懐かしい感じ。

縦の看板もいい雰囲気。

こっちから見ると3階建ての小さいデパートに見えます。

あからさまに後ろを増築した感があって素敵。

大店法プレートはちょっと新しそうでした。

絶妙に繋がってますね。長い歴史を感じます。

奥には搬入倉庫。酒蔵だっただけあって?ビールケースが積んであります。

送水口はなんとなく近代的。

それでは、店内に行ってみましょう。

電電公社のテレホンカード取扱店…!私はそのまま屋上を目指しました。

屋上へ。増築されてるのがよくわかりますね。

新館+2つに別れてます。

新海部分は2フロア分はみ出てました。そして…

屋上遊園地!!!

当時の雰囲気そのまんまです!泣きそう!!!

「あの頃」のデパートは地方にいても「都市の風」を感じさせてくれるところでした。

そしてダイエーを筆頭に、スーパーもそれを追いかけました。

1つのビルでなんでも揃う「大型GMS」が誕生しました。

あの頃に誕生した大型GMSと地方の百貨店は非常に似た雰囲気を持っていることが多くあります。

その共通点は「庶民のデパート」である部分が大きいところでしょう。

都市部にある大きなデパートと違い、地元の人達の衣食住を支えるという役目をになっていたこれらのお店。

デパートを目指したダイエーが行き着いたのは都市の豪華なデパートではなくこういう庶民的なデパートだったのかもしれません。

非常に居心地のいい店舗でした。ずっといられそうです。

後ろ姿も増床チック。左にちらっと写ってるのは酒蔵が並んでいた時の名残りと思われる建物です。

ちなみに手前にはとても広い平面駐車場を完備しています。

非常階段が2つの増築部を跨いでますね。

隣には「カルチャー館」なる建物がありました。本と文具の店が入っています。

矢尾本体とは別扱いの店舗になっているようです。

秩父に行ったら矢尾百貨店…というか矢尾百貨店のために秩父へ行ってもいいかな…とすら感じてしまうとても素敵な物件でした。

ちょっとタイムスリップした気分になりつつ、今時っぽい店もあったりして独特の雰囲気を持っています。

そしてなにより、非常に居心地がいいんです。こんな地方百貨店が各地にあればな…なんて思ってしまいました。

==店舗データ==

店舗正式名 矢尾百貨店
所在地 埼玉県秩父市上町1‐5‐9
開店日

1950年9月(届け出より)

階数

地上5階

店舗面積 7716平方メートル
エレベーター/エスカレーター 三菱
営業時間

9時30分〜22時

アクセス

電車:西武秩父駅/御花畑駅から徒歩5分くらい                      

駐車場 あり(230台、無料)
備考

1749年創業(升屋喜兵衛)

1910年矢尾商店に改称

1924年建て替え

1970年第一期増床

1975年第二期増床

1982年第三期増床

2015/7/20作成開始

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